せっかく整理収納しても、使ったものを定位置に戻さず出しっぱなしにしていれば、部屋は散らかります。そうならないようにするには、ものを定位置に戻すハードルを下げるのがポイントです。
使う場所の近くに収納する、戻すための動作を減らす、ゆったり収納する、収納場所にラベルを貼る、といった工夫でものが戻しやすくなります。
すべてのものに定位置を作る
ものを置く場所が決まっていないと戻せないので、すべてのものに定位置を作る必要があります。
毎回定位置からものを取り出し、使い終わったら定位置に戻すようにすれば散らかりません。
当たり前のようですが、これが散らからない仕組みの基本です。
ここで気を付けたいのが、使い終わったといえるかどうかが微妙なものの扱い。例えば、一回着たけれどもう一回着るパジャマは、洗濯には出さないけれど、たんすに戻すのも微妙です。
その結果、ベッドやソファの上に脱ぎっぱなしになりやすいので、「もう一回着るパジャマやもう一度使うタオル」にも専用の置き場所を作りましょう。ひっかける場所を作るだけでもOKです。
きちんと定位置に戻せない理由
定位置を作ったのに戻せない理由は、次のようなものが考えられます。
- 戻す場所が遠い
- 戻すための動作が多い
- ものがいっぱいで入れにくい
- 戻す場所がわからない
(理由は1つのこともあれば、2つ以上が絡み合っている場合もあります。)
これらの「きちんと戻せない理由」は、それぞれ以下のような対応で解決できます。
こうすれば定位置にきちんと戻る
- 戻す場所が遠い → 使う場所の近くに収納する
- 戻すための動作が多い → 戻すための動作を減らす
- ものがいっぱいで入れにくい → ゆったり収納する
- 戻す場所がわからない → 収納場所にラベルを貼る
具体的にはどうすれば良いのか、ひとつずつ見ていきましょう。
使う場所の近くに収納する
使ったらすぐに戻せるように、ものを使う場所の近くに収納スペースを作るようにします。しまう場所が遠いと、戻しに行くのが面倒で置きっぱなしになるからです。
収納場所を作るといっても大げさに考える必要はありません。
「ひっかけるフックを設ける」だけでもOKです。
使う場所から3歩以内をめざす
「ここに置くのが当たり前」「ここには収納スペースがないから」と思い込まず、柔軟に考えて、そのものをよく使う場所から3歩以内に置くことを目指しましょう。
もし使う場所からしまう場所まで10歩離れているとしたら、取りに行くのに10歩、戻すのに10歩で、計20歩移動することになります。毎日のことと考えると、面倒ですよね。
収納に合わせて行動するのではなく、自分の行動に合わせて収納を決めるのがポイントです。
テーブルでときどき仕事をする、手芸をする……。そんな場合は、キャスター付きワゴンを活用し、その作業をするときに使うものを持ってくるようにすれば、戻すのが簡単で散らかりません。
柔軟に考えることで収納のアイデアが広がり、自分なりの使いやすい収納場所を決められます。
いろんな場所で使うものは、それぞれの場所に置く
「使う場所のすぐ近くに収納場所をつくる」のが戻しやすくする基本ですが、複数の場所で使うものであれば、複数個用意してそれぞれの場所に置くと便利です。
例えば、リビングでも玄関でもハサミを使うなら、両方にハサミを置くようにします。そうすれば毎回わざわざ取りに行く必要もなく、戻すのも簡単です。
外出時に持っていくものは玄関に置く
鍵、傘、定期券などの外出時にしか使わないものは玄関にまとめて置くようにします。毎回あちこちから集めなくて済みますし、帰宅時もまとめて置けるのでラクです。
玄関に置き場所がなければ、つるす場所を作るのも良いでしょう。時計、鍵、ICカードなどの小物は、壁にキーフックを取り付けてかけておけば、靴箱の上に無造作に放り出すことを防げます。
まとめて入れる場所を作る
いっしょに使うものをセットにして収納したり、同じ種類のもの(文房具など)をグループで収納したりすると、戻すときも簡単です。
しかし、いっしょに使うものがあるわけでもなく、同じ種類があるわけでもないアイテムは、置き場所が定めにくく散らかりがち。そうしたものをまとめて入れる場所を作りましょう。
玄関の下駄箱の上や、ダイニングテーブルの上、ベッドヘッドなどが散らかりやすいなら、トレイやかごを置いて「ここに戻す」と決めると良いでしょう。
つい置いてしまう場所を収納場所にする
帰宅して玄関やリビングに「つい置いてしまう場所」があるなら、そこを定位置にしましょう。
玄関やリビングの床、ソファーの上にバッグやコートをつい置いてしまう場合は、その動線上にフックなどを取り付けて、パッとかけられる場所を作ると良いです。
コートなら玄関の壁にコート掛けを取り付けたり、バッグなら廊下やリビングの壁にフックを取り付けたりして、ワンアクションで吊るせるようにすれば、そのへんに置きっぱなしにはなりません。
「下校した子どもに何度言ってもランドセルを2階の自室に持って行かず、廊下に置きっぱなしになっている」としたら、定位置(=2階の自室)が遠くて、片づけるのが面倒だからでしょう。
そんなときは置きっぱなしになる場所=廊下に収納場所を作ることで、散らかるのを防げます。
置きっぱなしになる場所=置きやすい場所なので、リビングに置きっぱなしになっているなら、リビングに収納場所を作ると良いですよ。
すべてのものに定位置を作るのが片づけの基本ですが、つい面倒くさくてそのへんに置きっぱなしになってしまうこともありますよね。
そんなときは、チョイ置きできる「一時保管場所」を作れば、部屋が散らかるのを防げます。
ただし、一時保管場所はあくまで一時的なもの。時間のあるときに仕分けして整理(リセット)をすることで、片づいた状態をキープできますよ。
戻すための動作を減らす
戻す場所が決まっていても、戻すための動作が多いと面倒になってしまいます。
例えば、毎日使うテレビのリモコンの定位置が「引き出しの中のふた付きボックスの中」だったら、戻すのが面倒で出しっぱなしにしてしまうのではないでしょうか。
出しっぱなしで散らかるのを防ぐには、「戻すための動作を減らす」のがポイントです。
よく使うものこそ、なるべく少ないアクション数で戻せる収納を心がけましょう。「引き出しを開けたらすぐ置ける」「目の前に引っ掛けられる」ならワンアクションで戻せますね。
ゆったり収納する(7~8割)
ぎゅうぎゅうに詰まった食器棚や本棚は、もうそれ以上ものが入りません。入らないから、ついそのへんに出しっぱなしになって、散らかってしまうのです。
ものを入れるのは収納スペースの7~8割にすると、簡単に戻せます。収納スペースにはものを詰め込まず、2~3割の余裕を残したゆったり収納を心がけましょう。
新しく買った本も、本棚がいっぱいだと入らなくて出しっぱなしになりがちだけど、ゆったり収納ならそれも防げそう。
収納場所にラベルを貼る
家族で共有するものは、ラベルを貼ると戻す場所が分かりやすくなります。
家族で暮らしていると、「戻す場所がわからないから」とものが放置されていることがあります。それをママがひとりで片づけて回るのは大変ですよね。
これを解決するには、ラベルを貼って「戻す場所がわからないから戻せない」をなくし、全員が「戻す場所がわかる」状態にします。小さな子どもがいる場合は、ラベルをひらがなにしたり、イラストを付けたりするとよいでしょう。
全員が戻す場所=定位置がわかるようになれば、「あれどこ?」と聞かれることも減ってラクになりますよ。
「整理収納レッスン」はこれが最終回です。整理収納をしたいけれど何から手を付けてよいかわからないと困っているなら、ぜひこの順序で進めて、お家を快適な空間に変えていきましょう!
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