料理、洗濯、掃除、片づけ、裁縫、生活用品の購入、家計の切り盛りといったこまごました諸作業=家事は、家庭生活を円滑に営む上で欠かせません。
家事の基本的な目的は以下の通りです。
- 生命を維持する
- 会社や学校に行くなど、日々の活動を滞りなく行なう
- 英気を養う(ために家を快適な空間に保つ)
家事がきちんと行われていると、健康を維持しやすく、家で元気がチャージできて、仕事・学び・遊び・趣味などのやりたいことに安心して打ち込めます。

でも、正直なところ、仕事や子育てが忙しくて、毎日家事に追い立てられているような気持ちなんだよね…
家を心地よい場所にして、自分や家族が笑顔で暮らせるために家事をするのに、もし、その家事でへとへとに疲れ果てたり、ストレスをためてしまったりしているなら本末転倒です。
家事に追い立てられる生活から抜け出したかったら、「〇〇しなくては」という思い込みを捨て、時間と手間をかけなくても家事がまわる「家事効率化」を実践しましょう。
家事がしやすくなって、時間の余裕が生まれれば、暮らしはより良いものに変わります。



家事がまわると自己肯定感も高まります。「自分の叶えたい人生」に向かって舵を切りましょう!


思い込みを捨て、意識を変える


「しなくちゃいけないことが多すぎる」
「やってもやっても家事が終わらなくてつらい」
「SNSで見るきれいに片づいた部屋や手の込んだ料理を見て、自分のできなさに落ち込む」
そんなふうに感じているとしたら、家事をがんばりすぎているのかもしれません。
家事の目的はがんばることではない
最初に書いたように、家事は家を心地よい場所にして、自分や家族が笑顔で暮らせるようにするために行うものです。
「毎日掃除機をかけなくては」
「毎日のご飯は必ず一汁三菜を用意しなくては」
「洋服にはピシッとアイロンがかかっていなくては」
これらの行為を好きでしているのなら別ですが、「〇〇しなくては」と思い込んで家事に追いまくられているように感じるなら、ちょっと家事をがんばりすぎです。
毎日掃除機をかけなくてもフローリングワイパーでサっとほこりを取ればOK、おかずを何品も作らなくても、具沢山の汁物とおかずが1品あればOK。健康で快適に暮らすのには問題ありません。
家事のテクニックを向上させて少しでも早く終わるようにがんばろうと考えるのではなく、家事にかかる時間を減らすためには「やらなくてもいい家事を手放す(やめる)」のが最も効果的です。



「家事をがんばってる度」を競っているわけじゃないですもんね。
自分と家族が健康で快適に過ごせれば、家事は少ないほうがいいんです。
昔と同じ家事をやる必要はない
「家事をがんばらなくてもいい」と言われても、今までやってきたことをやめるのには勇気がいります。家族や周囲にどう思われるか気になったり、罪悪感を覚えたりするかもしれません。



実家で母は家事を完璧にしていたから、それが基準になっているかも…
専業主婦が主流で「良妻賢母」であることが良しとされた昭和と、令和の現代では暮らしはまるで違います。共働き世帯が増え、シングルで子育てしている人も増えた現代の女性が、親世代と同じ家事の量をこなすのは無理です。
時代が変わったのですから、親世代と同じやり方で家事をやる必要はありません。母親のようにやらなくてはという思い込みを捨てて、「家事を減らす」生活に変えていきましょう。
家族が笑顔で暮らすために家事をしているのに、家事に追いまくられてイライラし、子どもに話しかけられても「いま忙しいから後にして!」というのが口癖になってしまっていませんか。
もしそうなら、しなくてもいい家事をしすぎているサイン。イライラして余裕がない暮らしを終わりにしましょう。家族との時間を大切にしたいなら、家事の全体量を減らすのが近道です。
ラク=手抜きではない
家事に追いまくられる生活から抜け出すためには、やらなくてよい家事をやめて、家事の全体量を減らす必要があります。手放さない限り、ラクにはならないからです。
例えば、掃除機を毎日かけるのをやめる、毎日一汁三菜の献立を作るのをやめる、洗濯物をきちんと畳むのをやめる、など。
そう伝えると、多くの人が、きちんと家事をやらないことに対して後ろめたさを感じます。「ラクをすることは手抜きなんじゃないか。家族への愛情が足りてないってことにならないか」と。
断言しますが、ラク=手抜きではありません。そして、家族と笑顔で過ごす時間を大切にしたいから家事を減らそうとしている人に、愛が足りないはずがないのです。
忙しい日にはお惣菜を買ってきて子どもといっしょに食べてもOK。便利なものやサービスをかしこく利用して家事を減らすのもOK。それで自分と家族が笑顔でいられるのなら良い選択です。
手間をかけることに価値があると考えるのはやめて自分が何を大切にしたいのかを考えましょう。



「手抜きと思われたらどうしよう」と不安なら、他人軸で物事を考えているのかも。改めて「自分はどうしたいのか」を考えてみてください。
自分の労働はタダではない
ものが少ない時代には節約は美徳とされてきましたが、現代は必ずしもそうとは言えません。
チラシを片手にスーパーをはしごして、数十円安く買えたとしても、そのために自分の時間を30分費やしているのなら、意味がありません。ましてや、それで疲れてしまうなら本末転倒です。
自分の労働はタダではありません。時間と手間をかけて節約をするのが良いことだと決めつけず、お金を払って手間をかけない選択ができるようになると、時間と気持ちに余裕が生まれます。
趣味で子どもの通園バッグを作るのは素敵なことですが、裁縫が嫌いでストレスなのに節約のために通園バッグを手作りするくらいなら、既製品の好みのバッグを買うほうがずっと良いです。
ネット通販の送料がもったいないからと自転車で遠くのお店まで買いに行くと、確かに送料は浮くかもしれませんが、その代わりに自分の時間を失います。疲れて帰りにお茶でもしたら、トータルでマイナスになってしまいますよね。
時間の余裕を手に入れるためには「自分ががんばればタダだから」という考えを手放しましょう。



時間と手間のかかる節約は、長い目でみたら節約になりません。
その家事って、本当に必要?
「やるのが当然」と思っている家事の中にも、実際はやらなくてもいいことはたくさんあります。家事を減らしたいと思うなら、本当に必要かを考えてみましょう。
絶対にその手順でないといけないことは、それほどありません。例えば、食事をしないわけにはいきませんが、作る手順は変えても良いですよね。包丁で千切りにする代わりにスライサーを使ったり、カット野菜を買ってきたりしても、おかずは作れます。
洗濯機が1階にあるのに、2階のベランダにわざわざ干しに行っているとしたら、「なぜその行為をやっているのか」の理由を突き詰めていくと、必要か不要かが見えてくるのではないでしょうか。
理由を突き詰めた上で、ベランダに干したくて干しているならそれで良いですし、別に外に干すことが重要なのではなく乾けばOKということなら、1階に部屋干しをしてもよいはずです。
「こだわり」なのか「思い込み」なのかを考えて、「思い込み」ならやらなくてもいいのです。
もしもハンドドリップでコーヒーを淹れるのがこだわりならOK、おいしいコーヒーが飲めれば淹れ方はどうでもいいなら全自動のコーヒーメーカーを使えば毎日の手間と時間が減らせます。
家事効率化のためにやること


家事に追いまくられる生活から抜け出すには、思い込みを捨て、意識を変える必要があることが伝わったかと思います。ここからは、具体的に家事効率化のためにやることを見ていきましょう。
家中の面倒くさいことを減らす
人間は「面倒くさいこと」を続けられません。やる気に満ちているときにはできたとしても、日々続く生活で面倒くさいことを続けるのは無理でしょう。仕事や子育てなど、ほかに意識を向けなくてはいけないことがたくさんあるからです。
帰宅して上着やバッグがそのへんに置きっぱなしになってしまうのは、決められた置き場所に戻すのが面倒くさいから。でも、二階の自室のクローゼットに戻すのは面倒でも、玄関とリビングの間の廊下にフックがあったら、自然とそこにかけられます。
見た目重視のおしゃれな収納は、たいていが面倒くさいものです。収納に自分の行動を合わせるのではなく、行動に収納を合わせるのがポイント!
「不便だな」「面倒くさい」と感じたら、それを放置せずに解決する方法や道具を探しましょう。
ちょっとした工夫で家事が劇的にラクになる体験をすると、ほかのことに対してもアンテナが立ちます。すると、家中の面倒くさいことがどんどん減らせるのです。



「面倒くさい」をなくしたら、それまで片づけてくれなかった家族もうそみたいに勝手に片づけるようになったという声も!
しくみをつくる
家事を効率化するには、しくみが大切です。「いかに無駄な手間を省くか、頑張らずに済むか」を考えるのがポイント。ラクになるしくみを作れれば、その効果はずっと持続します。
頑固な汚れを頑張ってこすって落とすのをやめて、ほったらかしできれいになるつけ置きをしたり、少ない手間できれいになる道具を取り入れたりするのも、家事をラクにするしくみです。
また、あらゆる動作を「ワンアクション」で、ストレスなく取れる・使えるように家の中を動線や収納を改造するのも家事効率化に大きく役立ちます。
例えば、納戸の扉を開けて掃除機を取り出して掃除をするのではなく通路にスティック型掃除機を吊るしておく、毎回収納のふたを開け閉めするのではなくふたなしの収納に変える、などです。
しくみを作っておけば、それぞれの家事は5分以下で終わるようになります。スキマ時間だけで家事が十分に回るようになるのです。
ワンアクションを意識すると、何事についても「アクション数を減らせないだろうか?」と考えるようになり、家事を効率化するアイデアや生活が良くなるアイデアを思いつくようになります。
目指すのは、「頑張っていないのに、片づいている家」です。
家の構造、家族構成、仕事、ライフスタイルはそれぞれなので、絶対的な正解はありません。自分にとっての最適解を考えるくせをつけましょう。
精神論のように聞こえるかもしれませんが、「〇〇だからできない」とできない理由を言った瞬間に、何も変わらないことが確定してしまいます。完璧でなくても、現状よりラクになればOK!
変化を楽しみ、良い方法を知ったり思いついたりするたびに改善していけばよいのです。



ワンアクション化ができると、やることが減って時短になり、行為を気持ちよくできるようになります。


もの選びにこだわる
家事効率化をしたいなら、もの選びにこだわりましょう。手入れがラクであること、洗いやすい構造であること、好みの見た目であることは、妥協してはいけません。
「まだ使えるのに買い替えるのはもったいない」と思いますか? でも、手入れのしづらさやストレスを抱えたまま、この先何年もそれを使い続けるほうが、時間と手間がもったいないです。
見た目が美しいもの・好みのデザインのものは、目に入るたびに喜びを感じられますし、出しっぱなしにしておくことに抵抗を感じません。しまい込まないので、ワンアクション化が容易です。
優秀なアイテムは、努力する必要を永遠に無くしてくれます。排水口のカビやぬめりを取るために頑張るのではなく、そもそもカビやぬめりがつきにくいゴミ受けに取り換えましょう。
道具を使うのは、手早くラクに作業を終わらせるため。長く使うことが目的なのではありません。
「ちょっと使いにくいな」「我が家には合わないな」と思ったものは、迷わず捨てましょう。ものには手間と時間と空間がセットでついてくるので、捨てると手間と時間と空間が戻ってきます。



家事の時短にいちばん効率的なのはものを減らすこと。
使っていないものを捨てれば、家事がしやすくなります。


家電に投資する


便利な家電を使うことは、家事の手抜きではありません。最新家電の購入は未来の時間を得るための投資であり、収入アップや家族のだんらんにつながります。
最新AI家電は高く感じるかもしれませんが、日割りで考えると安いものです。例えば4万円のおそうじロボットを5年間使ったら、1日あたりの費用はわずか22円。1ヶ月あたり660円程度なので、パートタイムの賃金でも十分に回収できます。


調理家電を使えば、ほったらかしでおいしい料理を作ることが可能です。1食20分でできるなら、作り置きの必要がなくなります。かける手間と美味しさは比例しません。


洗濯機が登場したばかりのころは「手で洗わないで機械を使ってラクをするなんて」と思った人がいるかもしれませんが、今の日本で「洗濯機が家事の手抜き」なんて思いませんよね。
忙しい現代において、家事の「困ったな」を解決してくれるのは新たな道具。自分がいない間に家電が家事をしてくれるわけですから、活用しないのはもったいないです。
現在の3種の神器は、全自動洗濯乾燥機・ロボット掃除機・食器洗い乾燥機。いまこれらを使っていないなら、そろえることで、暮らしは大きく変わります。



高いけど、高くない。自分の時間が劇的に増えます! 最新家電に半信半疑なら、一度レンタルで試してみるのもいいですよ。
効率のいい家事を家族で学ぶ
共働き世帯がこれだけ増えても、まだまだ家事の負担は女性に集中しているケースが多いです。
仕事もして、子育てもして、趣味や勉強もして、さらに家事を全部背負っていては、自分の好きなことに時間を使うのは難しいと言わざるを得ません。
家事をラクにするには、家事を家族ごととして家族みんなでやることが必要です。
効率の良い家事を家族で学び、手順を決めて片づくしくみを作れば、家事シェアは進みます。
しくみとは、洗濯物を取り込むときに分けて各自でたたんでもらう、リビングにかごを置いて各自でかたづけてもらう、といったことです。全部を主婦が担当する必要はありません。
家族が同じだけの家事の基礎知識を持てば、家事レベルの個人差でもめることもなくなります。
家事が減ると、こんないいことがある


家事が減ってストレスがなくなると、どんどん変化が生まれます。例えば…
- 自由時間が増える
- 心も体も元気になる
- 居心地が良くなり、家が好きな場所になる
- 勉強のパフォーマンスが上がる→より多くの知識を得る
- 仕事のパフォーマンスが上がる→収入が増える
- 家族の仲が良くなる
- 自己肯定感が高まる
- 人生がより楽しくなる
家の外で働けて収入につながる、無駄遣いが減る、健康的になる、精神的余裕が生まれる、仕事の段取りもよくなる…など、いいことがいっぱいです。
また、散らかった部屋は自分の余裕のなさを表していて、目に入るたびにダメな自分を突き付けられているようですが、家がきれいに整っていると気持ちがとても落ち着きます。掃除をきちんとできていることで、自己肯定感も高まります。
「家事に追いまくられる暮らし」から「自分のしたいことに時間とエネルギーを使える暮らし」に変えたいなら、時間と手間をかけなくても家事がまわる「家事効率化」を実践しましょう!
家事負担が軽減すれば、子どもと過ごす時間が増やせますし、読書や映画鑑賞をして楽しむ精神的余裕も生まれます。空いた時間で何をかなえたいか考えると、わくわくしてきませんか。



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