知的家事プロデューサー・本間朝子さんの『写真でわかる! 家事の手間を9割減らせる部屋づくり』は、部屋・家・収納に「流れ」をつくることで、必要最低限の手間で家事が片づく方法を提案する本です。
「毎日の家事が大変でストレスを感じている」
「ちゃんとできない自分を責めてしまうことがある」
「やりたいことがあるのに家事のせいでいつも後回しになっている」
ものの置き方やしまい方をちょっと見直すだけで、そんな悩みを解決できます。普通に暮らしているだけで家事は”勝手に”片づいていく…、そんな「流れ」のつくり方を知りたい人はぜひ読んでみてください。
【要約】写真でわかる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり
『写真でわかる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり』は、手を抜くのではなく、かしこく手間を省き、毎日を丁寧に暮らすための「仕組み」のつくり方を写真や図解を通して伝える本です。
本間さんは「家事の目的はがんばることではない」と言います。家事の本当の目的は「家族が健康で快適に暮らせるわが家」を保つこと。それさえクリアできていれば、家事の手間は省けるだけ省いていいというのが本間さんの考えです。
家の中の環境を変えることで習慣が変わり、習慣が変われば毎日が変わります。「努力できれいな状態を保つ必要がある部屋」よりも、自分が「ラクできる部屋」をつくりたいなら、本書はきっと参考になるでしょう。
環境づくり(流れをつくること)は、最初は少し大変かもしれません。でも、一度つくってしまえば、そのしくみはずっと続きます。
言うなれば、「毎回遠くの川まで水を汲みに行く」ことと「家の隣に井戸をつくる」ことの違いのようなものです。最初に井戸をつくるのは大変かもしれませんが、一度作ってしまえば、そこから先はもう毎日遠くの川まで水に行く手間から解放されます。
本書では、そんな「井戸のつくり方」、もとい、「部屋づくり」「ルールづくり」を写真とともに具体的に紹介しています。今日からすぐに始められ、すぐに効果が現れるものばかりです。
カジコレ編集部が高く評価したノウハウはコレ!
本書は豊富な写真や図解とともに、ラクできる「部屋づくり」「ルール作り」を解説しているため、文章だけでは伝えきれませんが、一部を引用して紹介します。
行動に合わせて収納ポイントを作る
暮らしの中で自然と片づけができる「予防片づけ」
部屋を散らかさないカギは「帰宅時」にあります。
『写真でわかる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり』p.18より引用
実は、、郵便物やバッグ、買い物袋など、外からドッとモノが持ち込まれる帰宅時は、モノを定位置以外に置いてしまう=部屋を散らかしがちな魔の時間。ここでの散らかりが呼び水となって、部屋はどんどん散らかってしまうのです。とはいえ、帰ってすぐちゃんと片づけるのは面倒くさい…だったら、それらをしまう場所や収納するタイミングを、帰宅後の動きの中に組み込んでしまえばいいのです。
帰宅して何気なくカバンを床に置きっぱなしにしたり、上着を椅子やソファにかけっぱなしにしてしまうのは、本来の収納場所が遠くて、わざわざ置きに行くのが面倒だから。
であれば、玄関や廊下など、帰宅後の動線上に置く場所を設けてあげれば解決します。自分や家族の普段の行動に合わせて、通り道に収納ポイントを組み込んでしまうのがポイントです。
あらかじめ「掃除しやすい部屋」にしておく
部屋が掃除しやすい空間に変わる、たった2つのポイント
大事なのは、あらかじめ「掃除しやすい部屋」にしておくこと。一見難しそうですが、実はとってもカンタンです。ポイントは、「床に物を置かない」「床に置くものは可動式にする」の2つだけ。このちょっとした環境づくりが、掃除のストレスを驚くほど下げてくれるのです。
『写真でわかる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり』p.30より引用
掃除するときに面倒くさいのは掃除機やフローリングワイパーをかけることよりも、その前に床にあるものをどかしたり、家具のすき間に合わせて掃除機のヘッドを取り換えたり、といった掃除以前のことではないでしょうか。
思い立ったらサッと掃除機やフローリングワイパーをかけられる状態にしておけば、掃除がラクになります。重い家具や家電、植木鉢はキャスター付きにして掃除しやすくするのがおすすめです。
床を這っているコード類も「浮かせる収納」で床置きしないのがおすすめです。
【感想】納得感があり、真似したくなるアイデアがたくさん
本間さんのノウハウは、ロジカルで理にかなっているものばかり。「なぜそうするとよいのか」「そうすることでどうなるのか」がわかりやすく、取り入れることですぐに効果を感じられます。
家事本の中には「著者の考え方」に寄りすぎて、暮らしエッセイに近いものもありますが、本間さんの本に掲載されているアイデアは、どれも納得感があり、多くの人に役立つものです。
写真や図解が多いので視覚的に理解しやすく、「ちょっとやってみようかな!」と思えます。
冒頭に、家事の手間を減らせる部屋づくりを「毎日遠くの川に水を汲みに行くのをやめて、家の隣に井戸をつくる」と例えましたが、早く井戸をつくればその分早く快適な暮らしが始まります。
井戸をつくるのは(手間を減らせる部屋をつくるのは)手間がかかるかもしれませんが、そのあとずーっとラクができるのですから、どっちがトクかは一目瞭然でしょう。
ぜひ、本書を読んで、「普通に暮らしているだけで家事が”勝手に”片づいていく家のつくり方」を取り入れてみてください。
本書の巻末には、「書き込むだけで「頭」と「部屋」が整理されるWorkbook」がついています。ワークを活用するためには電子書籍よりも紙の本で買うのがおすすめです。
カジコレでは、以下の本間朝子さんの著書の書評も書いています。
もくじの紹介
本書のもくじを引用します。
- はじめに
本間式「部屋づくり」3つのポイント
本間家の間取り、この本の使い方 - Part1 写真でわかる! 手間を減らせる「部屋づくり」
片づけ、掃除、料理、洗濯。毎日の家事、書類仕事 - Part2 どんなに部屋でも効率のいい空間に変えられる「考え方」
- Part3 書き込むだけで「頭」と「部屋」が整理されるWorkbook
- おわりに