知的家事プロデューサーの本間朝子さんの『ゼロ家事』は、忙しい人に向けた、人生のコストパフォーマンスを上げる方法を教えてくれる本です。
誰がやってもさほど変わらない家事は「AI家電」「家事代行サービス」など他力を借りて、自分にしかできない「仕事」や「育児」に時間とエネルギーを投資するという新しい価値観を提案しています。
【要約】ゼロ家事
『ゼロ家事』は、洗濯乾燥機や食洗器、ロボット掃除機、AI調理家電を活用し、家事代行サービスもうまく取り入れて、自分でやらなくていい家事は「ゼロ」にする、または「ゼロ」に近づける、「ゼロ家事」の具体的な方法をまとめた一冊です。
「平成28年社会生活基本調査」によれば、女性が1日のうち家事に欠ける時間は2時間24分。30年間にすると、2万6280時間(丸3年間)も、一睡もせず家事に費やしているということになります。
家事のエキスパートになるのが目標ならそれもいいですが、そうでないなら、その2万時間+体力はもっと大事なことに使いたいですよね。
本間さんは、「限られた時間を大切に使うために、人生において優先順位が低いものから他人に任せてみましょう」と提案します。たとえば、第一章「家事ってそんなに重要ですか?」の見出しは以下の通り。
- 一生の家事時間、2万時間をゼロにしよう
- 実家のやり方を忘れ、ゼロベースで考えよう
- 家事の優先度、高すぎませんか?
- 家事にお金をかけるのは贅沢ではない。人生への投資です
- 「女性だから家事をやらなきゃ」と思っていませんか?
- ゼロ家事なら「家事シェアストレス」もゼロ!
親世代とは時代が変わっているのに、昔の価値観のまま、根性で頑張ることを続けていると、ずっと家事に追いまくられて疲弊し、自分が本当にしたいことに時間やエネルギーを使えません。
本書では、そうならないために、家事の常識をゼロベースで変える方法が解説されています。具体的な商品名、企業名も掲載されているので、書いてある商品やサービスを利用するだけで「家事をしない生活」が手に入りますよ。
毎日2時間が生まれたら、あれこもれもしたいなあ!
他力を借りて、ゼロ家事を目指す考え方
本書は、最初に家事の常識をゼロベースで変えるための考え方が書かれており、続けて、ゼロ家事を実践するための5種の神器(AI調理家電・ロボット掃除機・食器洗い機・スマートスピーカー・洗濯乾燥機)について書かれています。
ここでは前半の「考え方」から、カジコレ読者にお伝えしたいものを抜粋して紹介します。
専業主婦が丁寧な家事をやるのも素敵な生き方です。しかし、親世代と同じような家事の量を、同じようなやり方でこなすのは、同じ24時間で仕事を持ちながらでは、時間的にどうしても無理なのです。
これは、お母さんを否定することではありません。ただ、時代が変わったというだけです。時代が変わったのだから、やり方を変える、ただそれだけのことです。
『ゼロ家事』p.18~19より引用
「家事は頑張らないといけない」「手を抜くのは悪いことだ」と思っている人は、親世代のやり方(昔の家事の常識)をリセットして、家事を減らしてよいと頭を切り替えるのが第一歩です。
親世代であっても「洗濯機を使うなんて手抜きだ、昔は洗濯板で手洗いしていたんだから、いまもそうすればいい」なんていう人はいないですよね? 時代が変わったからやり方を変える、ただそれだけです。
ゼロ家事に欠かせないのが最新AI家電です。従来の家電との違いは、「あなたの代わりに家事をやってくれる」点です。人間が教えなくても、使えば使うほど自ら学習し、予測して提案してくれたりします。時短になるだけでなく、自分のクローンが自分でやる以上のクオリティで家事を代わりにやってくれるようなものなのです。
『ゼロ家事』p.30より引用
最新AI家電と聞くと、「自分でやればタダなのに、わざわざ高いお金を出して買わなくても……」と抵抗感を持つ人もいるかもしれません。でも、最新AI家電は、日割りで考えると決して高くはなく、それによって浮く時間を考えると、とてもリターンの大きい投資といえます。
ロボット掃除機が家をきれいにしてくれている間に仕事をしたり、家族と過ごせたりするなら、それは価値のあるお金の使い方です。「限られた時間を優先順位の高いものに使っている」といえますよね。
家事代行サービスと聞くと、「料金が高い、セレブのもの」というイメージがあるかもしれません。でも、共働き家庭の増加に伴い、今では「手ごろな価格で生活にゆとりをくれるもの」に変わりつつあります。家事代行サービスの会社数は10年前に比べて3倍にもなり、アプリで依頼できるなど利便性も高まりました。
『ゼロ家事』p.90より引用
家事代行を実際に利用している人は、「あそこの掃除ができていないというストレスがなくなった」「疲れて帰宅しても料理が手作り料理が待っているという心の余裕は最高!」というそうです。
もちろんお金はかかりますが、自分のライフスタイルに合わせて、「週に1回」「月に2回」といった利用もできますし、仕事が特に忙しいときだけピンポイントでお願いする、ということもできます。
限られた時間は家事以外に使いたい!
本書を読むと、「家事はすべて自分が頑張るもの」「他力を頼るのは悪いこと」といった考え方を手放し、家事にかけている時間と体力をもっと大事なことに使おう、という気持ちになれます。
ただ、2019年5月に出版された本であり、ここ数年のAIの発展の著しさを考慮すると、「最新AI家電」や「最新サービス&商品」の情報は、ちょっと古くなってしまっているな、というのが正直な感想です。
2019年時点でスマートスピーカーのことを書いているのは新しかったと思いますが、いまでは一般化していますから。とはいえ、普及したことで価格が下がり、より導入しやすくなったと考えることもできます。
「最新AI家電」や「最新サービス&商品」について具体的に知りたい場合は少し情報が古いですが、考え方の部分は非常に参考になり、納得感をもって実践できると感じました。
毎日家事に追いまくられてヘトヘトになっている人、仕事や子育てなど本当に自分がしたいことに集中したい、自分の人生を主体的に生きたいと考えている人に、とくにおすすめの本です。
「ゼロ家事」のもくじ
- 1章 家事ってそんなに重要ですか?
- 2章 「最新AI家電」が結局コスパよし!
- 3章 飲み会1回の料金から頼める「家事代行サービス」
- 4章 家事が発生しない家に整えれば一生ラクできる!
- 5章 知らないと損する「ゼロ家事」最新サービス&商品