佐光紀子さんの『家事は8割捨てていい』は、世間体という呪いにハマってしまって「私がきちんと家事をやらなくては!」と思い込んでしまっている人に向けた、「家事の減らし方」の実践集です。
イヤな家事はやらない、つけ置きだけできれいになる「ほっとく家事」を取り入れる、家族で役割分担をする、といった方法で家事を減らし、生活がうまく回るようにしていく方法を学べます。
【要約】家事は8割捨てていい
本書には、家事は愛情のバロメーターではなく、生活のための技術であると書かれています。
「アイロンも当ててくれない奥さん」と思われる、真っ白な上履きを履かせていないと「だらしないママ」と思われる……。こうした世間体という呪いにハマっているとしたら、まず意識改革が必要です。
「家事=愛情、ちゃんと家事をしてしっかり家族の面倒を見るのがいい妻」という思い込みがあるなら、それを手放して、家族に家事を任せるようにします。その際、完璧にできなくても口を出さないこと。
ごく端的にまとめると、本書では以下のようなことを訴えています。
- 世間体や思い込みを手放し、したくない家事はやめる
- 主婦が家事を背負わずに、家族みんなで役割を分担する
- いままでのやり方に固執せず、もっとラクな方法があるなら切り替える
- つけ置きの知識を身につけ、「ほっとく家事」を取り入れる
- 自分自身を大事にする(自分の時間を家族のために捧げすぎない)
『家事は8割捨てていい』というタイトルですが、本当に8割の家事を捨てる(完全にやらない)のではなく、うまく家族と分担して、一人で8割背負わないようにしようという内容です。
そのため、基本的には配偶者+(乳幼児でない)子どもと暮らす主婦の方、どちらかといえば若い方より40代以上の方向きの本だと思います。
カジコレ編集部が高く評価したノウハウ
本書で紹介されている家事の方法をいくつか紹介します。
洗濯物を干すときにハンガーにかけて干し、その後、取り込んでからもハンガーにかけっぱなしで収納すると、たたむ洗濯物は激減します。
『家事は8割捨てていい』p.48より引用
洗濯物をたたむのが負担になっているなら、ハンガーで吊るす収納にすることで、手間と時間をカットできます。たたんだものを広げなくても長袖か半袖かわかるので、子どもでも着るものを選びやすいです。
掃除道具は、しまい込むと使用頻度が落ちるので、汚れる場所に近いところに収納するのが理想的です。重曹は磨き洗いしたい洗面所や流しに、クエン酸は尿のアンモニア臭の気になるトイレへ、掃除機は床のゴミが一番気になるダイニングへ、といった具合です。
『家事は8割捨てていい』p.92より引用
掃除道具はしまい込むと「取り出すためのワンアクション」が面倒ですが、すぐ取れる冷蔵庫脇や廊下に吊るしておけば、目に付くのでこまめに掃除するようになります。
(過炭酸ナトリウムは)普段の洗濯からシミ抜き、洗濯槽の洗浄、キッチンのふきんやスポンジの洗浄、バスルームの汚れ落としまで、幅広く使えてとても便利。塩素系の漂白剤が使えなかった色柄の衣類ももちろんOKですし、ステンレスの水筒やお弁当箱の洗浄や消毒も、過炭酸ならバッチリです。
『家事は8割捨てていい』p.97より引用
「オキシ漬け」で有名な過炭酸ナトリウム。過炭酸ナトリウム、酸素系漂白剤、オキシクリーン…と、いろいろな名前で呼ばれていますが、どれも主成分は同じ「過炭酸ナトリウム」です。
過炭酸ナトリウムは、キッチンの油汚れ、洗濯槽のカビ、お風呂小物の汚れなどを落とすのが得意です。40~60℃のお湯に溶かしてつけ置き(オキシ漬け)すると、頑固な油汚れがスルっと取れます。
家事は生活の技術だから家族で分担しよう
『家事は8割捨てていい』は、世間体や古い価値観にとらわれて「母/妻だから○○しなくちゃ!」と思い込んで疲弊している人に向けて、「家事は生活の技術だから家族で分担しよう」と訴える本です。
中には「これはわが家には合わないかも」というものもあるかもしれません。カジコレ編集部も、家事を家族でシェアする考えには大賛成ですが、『「お父さんを「家事男子」に、子どもを「家事っ子」に』という提案は、あまりしっくりきませんでした。
しかし、家族と役割を分ける方法、新しいやり方や道具に頼る方法などが書かれているので、「家事は愛情のバロメーター」というメンタルブロックを外したい人は一度読んでみるとよいでしょう。
もくじの紹介
『家事は8割捨てていい』から目次を引用します。
- Introduction 手抜き家事じゃダメかしら?
- Chapter1 イヤな家事は、やらなくていい
- Chapter2 つけ置きだけで除菌&消臭&漂白の「ほっとく家事」
- Chapter3 お父さんを「家事男子」に、子どもを「家事っ子」に
- Chapter4 「家事がラクになるかどうか?」で家電は選ぶ