『設計者主婦が教える片づく収納アイデア』は、住まいの設計をしながら家事や子育てを行っている3人の著者(伊藤 茉莉子さん、工藤 絵美子さん、三木 嘉子さん)がこれまでに実践してきた片づけのアイデアをまとめた本です。
豊富なイラストと寸法付きの図解があり、3人のやりとりも載っているので楽しく読み進められ、設計者ならではの「限られた空間を有効に使う方法」がわかります。
【要約】設計者主婦が教える片づく収納アイデア
本書では、3人の家づくりのプロが100均収納、簡単DIY、本格リフォームと、難易度別に片づく住まいの工夫を図解つきでわかりやすく解説しています。「3人の主婦の知恵」+「設計の知識」という点が大きな特徴です。
設計者目線の間取りや生活動線を考えたレイアウトはとても合理的で納得感があります。また、実際に家族と暮らす主婦目線も盛り込まれているので「そうできたらいいけど、現実的には無理でしょ」という、理想と現実のギャップも起こりにくいです。
寸法付きの図解は、お部屋のスペースや収納アイテムを、縦×横×奥行きで立体的に考えるのが苦手な人にはとても参考になるでしょう。「収納を奥行きから考える」は、いろいろな場所で応用できそうです。
また、第一章に書かれている「分散収納」と「集中収納」のメリット・デメリットと使い分けは、家の中をすっきり保つヒントになります。DIYやリノベーションに興味がある人にもおすすめです。
カジコレ編集部が高く評価したノウハウはコレ!
本書はイラストと図解をベースにした解説が多く、文章だけを抜き出して伝えることは難しいのですが、いくつか本書のスタンスが伝わりそうな部分を引用します。
コートや鞄の一時置き場をつくる
脱ぎっぱなし、置きっぱなしが散らかりの原因。家族ひとりひとり専用の、一時置き場をつくりましょう。一時置き場は、散らかしてしまう場所の付近か、そこに行くまでの動線上に。習慣づけられることがポイントです。
『設計者主婦が教える片づく収納アイデア』p.57より引用
帰宅した家族がそのへんに上着や鞄を置きっぱなしにして散らかってしまう……。収納場所が遠かったり、面倒な場所にあったりすると起こりがちですが、動線上に一時置き場を作ることで解決できます。
本書ではイラスト付きで動線を解説し、大人は高い場所、子どもは低い場所といったように具体的な収納の方法を提案しています。
洗濯機上部を有効活用
壁を傷つけたくない場合も、市販の壁面突っ張りアイテムを利用すれば、オープン棚をDIYできます。洗濯機上部の空間を有効活用しましょう。
『設計者主婦が教える片づく収納アイデア』p.○より引用
本書では、2×4(ツーバイフォー)材に専用パーツを取り付け自立柱にし、ブラケットを取り付けてカットした合板を棚として載せる方法を提案しています。
どこまでDIYを実践するかは、人や家によって異なるとは思いますが、デッドスペースと思われる場所を有効活用し、「使う場所のすぐ近くに収納場所を作る」アイデアはぜひ取り入れたいところです。
押入れの収納方法
広いスペースなので、空間は区切って考えて。手前と奥を分けて、収納場所の優先順位を決めましょう。
ワゴンや棚で使いやすく
奥行きや高さ、しまう物の性質によって、それぞれに適したグッズを選び、押入れの使いにくさをぐんとアップさせましょう。
『設計者主婦が教える片づく収納アイデア』p.126~127より引用
奥行きのある押し入れは、布団をしまうのにはよくても、それ以外のものを収納しづらい、奥の方に何が入っているかわからなくなってしまう、と悩んでいる人も少なくないでしょう。
本書では、しまうものの使用頻度と重量で分けて、押入れ収納をイラスト付きで解説しています。ふすまを外してデスクワークスペースにしたり、中段板を外してクローゼットにしたりといった、発展的なDIYの方法も紹介されているので、大きく使い勝手を変えたい人にも役立ちそうです。
【感想】視覚的に理解したい人、DIYしたい人におすすめ
本書にはイラストと図解がふんだんに使われているので、文章を読むより、視覚的に理解するほうが得意という人に向きます。考え方というよりも、具体的な方法がたくさん掲載された本です。
また、簡単なものから本格的なものまで、DIYをすることで収納のしやすさ、暮らしやすさを格段に上げる方法を提案しているので、「今の家をもっと暮らしやすくしたい!」と切実に思っている人なら、解決方法のヒントが見つかることでしょう。
もくじの紹介
Amazonから本書のもくじを引用します。
- 1章:片づく家のヒミツ
・部屋と行為と収納物の関係-気になる部屋の不便さは、使う物にあった収納で解決!
・片づかない原因とその対策
・片づけても、すぐにもとの位置に戻ってしまうのはなぜ?
・収納は部屋の中につくるもの?
・収納のための部屋、という選択肢も
・収納を奥行きから考える
・収納する物のサイズにあった収納をつくりましょう。ポイントは「奥行き」です
・暮らしと物と、収納の関係
・生活動線にあった理想の収納のカタチは……?
・設計者主婦が収納術を教えます!片づけ嫌いの3人が、カリスマ設計者主婦になったワケ - 2章:脱・汚部屋テクニック
・リビング・ダイニング1-小物が出しっぱなしのダイニングテーブル
・リビング・ダイニング2-読みかけの本も日用品も……物が散らかるリビング
・リビング・ダイニング3-子供のおもちゃが散らかりまくり
・リビング・ダイニング4-脱いだコートや鞄が置き去り
・キッチン1-なぜか料理に時間がかかる……
・キッチン2-シンク下の奥行きが深くて使いづらい
・キッチン3-鍋やフライパンが出し入れしにくい
・キッチン4-調理器具、調味料がサッと出せない
・キッチン5-吊り戸棚の物の出し入れが大変
・キッチン6-食器棚が使いづらい
・キッチン7-土つき野菜の置き場に困る
・キッチン-収納に入れたい物と寸法
・洗面脱衣室-洗面台まわりに物がたくさん
・洗面脱衣室-収納に入れたい物と寸法
・トイレ-収納が少なくて物が収まらない
・トイレ-収納に入れたい物と寸法
・玄関1-収納しきれない靴が出しっぱなし
・玄関2-置き場のないスポーツ用品や子供の外遊び道具
・玄関3-飾り棚が物置に……
・玄関4-たまる郵便物、書類はどこへ……?
・玄関-収納に入れたい物と寸法
・寝室・クローゼット1-クローゼットからあふれる衣類
・寝室・クローゼット2-奥の物が取り出せない押入れ
・寝室・クローゼット-収納に入れたい物と寸法
・子供部屋-おもちゃや道具が散らかりっぱなし
・子供部屋-収納に入れたい物と寸法
・ガレージ・バルコニー・庭-外で使う道具をガレージで収納する
・ガレージ・バルコニー・庭-ガーデニンググッズの収納に困る
・ガレージ・バルコニー・庭-収納に入れたい物と寸法 - 3章:上質収納テクニック
・見せる収納を上手に使いこなしたい
・室内干しをするスペースがない
・季節の飾りを飾る場所がない
・趣味のコレクションを飾る場所がない
・ペットと快適に暮らしたい - コラム
・おもちゃを選ぶときには片づけやすさも意識して
・片づけ・掃除を楽しみに変える方法
・家事でカロリー消費?
・DIY1収納づくりの流れ
・DIY2道具について
・パーティーを片づけのきっかけに
・使っている洗剤は何種類?数を減らして収納をコンパクトに