浴室ドアにつく汚れは、石鹸カス、水垢、ホコリ、カビの4種類です。ためこむと異なる種類の汚れが複合的に絡みあってやっかいになりますが、普段から入浴中のこすり洗いなどの「ついで掃除」を取り入れるとラクにきれいな状態を保てます。
浴室ドアにつく汚れの種類と落とし方
浴室ドアにつく汚れは、石鹸カス、水垢、ホコリ、カビの4種類です。それぞれの特徴と、カジコレ編集部が実際にいろいろな方法を試した結果わかった、簡単な汚れの落とし方を紹介します。
なお、浴室ドアには、大きく分けて「開き戸・折戸・引き戸」の3タイプがありますが、どのタイプのドアでも付着する汚れの種類は同じなので、掃除方法は変わりません。
石鹸カス
石鹸カスは、石けんの成分である脂肪酸ナトリウムが水に溶け、水道水のミネラル成分と結びついて、脂肪酸カルシウムや脂肪酸マグネシウムになったもの。浴室のムッとした臭いの原因です。
どこに付着する?
浴室側のドアだけでなく、洗い場の床、ラック、洗面器椅子、浴槽エプロン(ユニットバスによくある、浴槽の側面についている蓋)にもよく見れられます。
落とし方は?
軽度の石鹸カスは、浴室用の中性洗剤をスプレーするか、入浴中にボディーソープをスポンジにつけてこすり洗いをして落とします。
重度の石鹸カスは、酸性の性質を持つクエン酸で落とすのがおすすめです。クエン酸を水に溶かしたクエン酸水スプレーは、アルカリ性の汚れを落とす洗剤として使えます。
水垢(カルシウム汚れ)
水垢は、水道水に含まれるカルシウム成分、皮脂、石けんに含まれる脂肪酸が反応してできる炭酸カルシウムのこと。重度の水垢は触るとザラザラしていて、落とすのが困難です。
どこに付着する?
ドアの内側によく見られ、ドアレールにも堆積しやすいです。ほかにも、カラン(蛇口)、浴槽のふち、鏡につきやすく、鏡についた水垢は「ウロコ汚れ」とも呼ばれます。
落とし方は?
軽度の水垢は、浴室用の中性洗剤をスプレーするか、入浴中にボディーソープをスポンジにつけてこすり洗いをして落とします。
重度の水垢は、酸性洗剤であるクエン酸を溶かした水を浸したキッチンペーパーで覆って放置する「クエン酸パック」が有効です。クエン酸パックのやり方は以下の通り。
クエン酸パックのやり方
水200mlにクエン酸小さじ1を混ぜ、クエン酸水を作る
クエン酸水にキッチンペーパーを浸し、汚れを取りたい場所に張り付ける
30分~2時間放置する。時間が経つと、汚れがゆるんで落としやすくなります
スポンジなどで、こすって洗い流す
パックを剥がした時点では「あまり変わっていない?」と思うかもしれませんが、水垢がゆるんでいるので硬めのスポンジやブラシでこすってから洗い流してみてください。擦っても落ちない場合はヘラで削り落とします。
ホコリ
ホコリは、繊維、髪の毛、ダニ、ダニの糞、フケといったごく小さな物質が空気中をただよって、下に落ちて家具や床などの隅に集まったもののことです。
どこに付着する?
ホコリは、ドアレールやパッキン、ガラリ(ドアの通気口)にたまりやすいです。換気扇をつけっぱなしにしている環境では、風の流れがあるのでガラリにホコリがたまりやすくなります。
落とし方は?
ドアレールやパッキン、ガラリにたまったホコリはすき間ブラシでかき出します。毛足の長いブラシがおすすめです。ブラシがない場合は、手軽な方法として、ウエットティッシュを爪楊枝などで突っ込んで拭くのも良いでしょう。
カビ
カビの正式名称は「真菌」といい、糸状菌や酵母などの種類があります。浴室に生える黒いカビは酵母の一種です。
どこに付着する?
カビは、ドア内側のパッキンやコーキング部分に生えやすいです。黒カビ・ピンク汚れ(ヌメリ)が多く見られます。
落とし方は?
軽度のカビ汚れは、泡ハイター(塩素系)をスプレーしてしばらく放置し、洗い流します。
重度のカビ汚れは、ハイターパックかジェルタイプのカビ取り剤で、半日~1日ほど放置して洗い流します。
水垢落としに使うクエン酸と、カビ落としに使う塩素系の洗剤は「混ぜるな危険」です。それぞれよく洗い流し、同じ日に掃除をしないようにしましょう。
ひどい汚れはハウスクリーニングへ
重症すぎる浴室ドアの汚れは、自力で対処できるレベルを超えていることがあります。
がんばってみたけれど大変な割に全然きれいにならないと諦めている人や、忙しくて大掛かりな掃除をする時間がない、時間と労力を買いたい場合などは、ハウスクリーニングがおすすめです。
ハウスクリーニングとは、お掃除のプロが業務用の道具で完璧な掃除をしてくれるサービスのこと。浴室やトイレ、換気扇などの決まったメニューについて、普通のやり方では落とせない頑固すぎる汚れをプロの技でかき落としてくれます。
「家事代行とハウスクリーニングの違いと効果的な使い方」の記事もあわせてご覧ください。
現状、浴室ドアに重症すぎる汚れがついてしまっているなら、プロに依頼してラクにキレイを取り戻してみてください。ひどい汚れをリセットしてもらえば、その後は普段の「ついで掃除」で無理なくきれいな状態を保てますよ。
SNSには、個人が強酸性の洗剤(サンポールなどの強酸性洗剤)で浴室ドアの汚れを落としている動画が出回っています。しかし、この方法はけっこう危険です。サンポールの成分は塩酸で、9%と濃度が高く、長時間の使用は対象物を溶かしかねません。もともとトイレ用の洗剤でメーカーはそれ以外の用途では使ってはいけないと主張もしています。
「ついで掃除」を取り入れよう
浴室ドアの汚れは、ためこんでしまうと異なる種類の汚れが複合的に絡みあって、やっかいです。
わざわざ浴室ドアの掃除のためだけに時間を取るのは億劫ですが、入浴中の「ついで掃除」なら、あっという間に終わりますし、ほとんど負担がありません。
ドアの浴室側
ドアの浴室側は、皮脂、石鹸カス、水垢が飛び散る部分です。体を洗うついできどきこすっておくだけで、重度の汚れになるのを防げます。1回あたり1〜2分で十分なので、習慣にしてみてください。
ドアの脱衣所側
ドアの脱衣所側の主な汚れは、ドアノブや手を触れる部分につく手垢と、サッシ部分のホコリです。脱衣所にウエットティッシュを備えておき、気づいときにさっと拭くようにしましょう。
頻繁に拭くことができるなら(ひどい汚れがたまらないので)使い終わったバスタオルで拭いても問題ありません。ちょこちょこ拭いておくことが肝心です。
年に1〜2回ほど、ガラリ(ドアの通気口)のホコリをすき間ブラシなどで取り除いておくとなおよいです。通気口がきれいだと換気扇の威力が落ちないので、浴室のカビの発生も抑制できますよ。
換気扇をつけっぱなしにしてカビ予防
「ついで掃除」とともにぜひ取り入れて欲しいのが、カビを予防することです。
カビは「温度・湿度・栄養」の3つの条件がそろうと、発生しやすくなります。逆に、どれかひとつが欠ければ、発生しにくいのが特徴です。
浴室を湿度が高いままにしておくと、カビが発生しやすくなります。そのため、お風呂の換気扇をつけっぱなしにして湿気を外に出すと、浴室やドアにのカビを防ぐのに役立ちます。
つけっぱなしにすると電気代が高くなるのでは…と思うかもしれませんが、一か月つけっぱなしにしても電気代はわずか数十円~数百円程度。カビを取る手間や時間を考えれば安いものです。
ときどきアルコールをスプレーしておくこともカビ予防に役立ちます。
床に近いところにあるパッキンにはカビ防止テープを貼っておくのも一つの方法です。湿気がテープ内部に入らないように施工部分に密着させて貼るようにしましょう。
おわりに
カジコレ編集長がかつて築古の戸建てに住んでいたとき、ドアレールの下にひどいのザラつきができてしまい、洗剤をつけてこすっても泡ハイターをしても全く落とせなかったことがあります。
その後、ドアレールのザラつきは堆積した水あか・石鹸カス・ホコリの混合物で、酸性洗剤で削り落とす必要があると知り、あのときなぜ汚れが落ちなかったのか理解しました。
とにもかくにも、浴室のドアの汚れは重度にならないように、ついで掃除とカビ予防で、ラクにきれいを保つことが大切です。
この記事を読み終わったら、自宅の浴室ドアを観察してみてください。もしも汚れがたまっていたらリセット掃除をして、その後は「ついで掃除」で汚れをためないようにしましょう。
毎日入浴のついでに1〜2分どこかをこするだけで、重度の汚れになるのを防げるだけでなく、いつもキレイで快適なドアを保てますよ。