整えアドバイザー・阪口ゆうこさんの著書『片付けは減らすが9割 〜ゆるミニマリストが教える がんばらない整理術〜』は、ものを減らすことで片付けや暮らしを整えることを提案する本です
「ものを捨てることに罪悪感を持ってしまう」
「掃除・収納にストレスと時間がかかっている」
「ものは減らしたいけれど、不便にはなりたくない」
そんな悩みがあるなら、本書を読んで自分にとって必要なものやちょうどよい量を把握してみませんか。
【要約】片付けは減らすが9割 〜ゆるミニマリストが教える がんばらない整理術〜
著者の阪口ゆうこさんは、根っからのズボラ気質のため、生まれてこのかた「片付けられない人生」を歩んできており、「一生私はカオス部屋に住むのだ」とやさぐれていたそうです。
しかし、とあることから「ゆるミニマリスト」に転身、片付けのトライアンドエラーを繰り返した結果、自身の「ものの適正量」と「本当に必要なもの」を把握できるようになり、片付けの労力と時間を劇的に減らすことに成功したと言います。
本書は、かつての阪口さんのように片付けられない人や、「片付けられない自分」を責めてしまうマジメすぎる人の”ハードルをぺったぺたに下げた”片付けマインドや方法を解説する本です。
「ものを減らす」ことを提案する片付け本は今までたくさん読んできたけれど、同じようにはできなかったんだよね…
「ものを減らしたら幸せがやってきた」というミニマリストは多いです。でも、ものを減らすことそれ自体が目的になっているのだとしたら、幸せの錯覚ではなかろうかと阪口さんはいいます。
洗濯機や掃除機を捨てた(その結果として洗濯や掃除がすべて手作業になった)、洋服も最小限にしてあとは捨てた(その結果として選ぶ楽しみがなくなりTPOに合わせた装いができなくたった)…これが全員にとって「幸せなこと」とは言えないでしょう。
暮らしやすさより、ものを減らすことが優先されるのは、違います。だれかの適正量と、あなたの適正量も違って当然なのです。
阪口さんは、ものを減らせば高確率で暮らしはラクになるけれど、人それぞれ必要なものも適正量も違うから、片づけ本をただ真似するのではなく、自分のやり方を自分で決めようと提案します。
全編を通して、阪口さんの話し言葉で書かれており(ツッコミも多々あり)、まるで隣で阪口さんが話すのを聞いているような感覚でスラスラと読める本です。
「片付け脳」になるためのマインドシフト法
本書を読んで「なるほど!」と膝を打ちたくなったのは、p.36~40にわたって書かれている「片付けられない人」の6大特徴です。1項目ごとに詳しい説明があるのですが、特徴のみ引用します。
「片付けられない人」の6大特徴
『片付けは減らすが9割 〜ゆるミニマリストが教える がんばらない整理術〜』p.36~40より引用
- 物事を後回しにしがち
- 350mlと500mlの飲み物で、コスパがいいからと500mlを買う
- とりあえず隠せたらOKとしている
- 片付けられない理由を探す
- 時間をかけず、結果をすぐに求める
- 自己紹介で過去のことを話す
ドキッとした人もいるのではないでしょうか。
阪口さんはこの特徴のある人=片付けられない人が、「片付け脳」になるためのマインドシフト法として、過去より現在や未来を大切にしようと提案します。
過去に優しく、ものに重きを置くことによって、現在や未来の暮らしが不便になっては本末転倒です。過去よりも未来、ものよりも自分を優先することで、マインドをシフトチェンジできます。
片付けられなくて困っている人は、収納の工夫でものを隠したりせず、きちんと家の中にあるものと向き合って、ものを減らすことに徹するのがいいと思う。
『片付けは減らすが9割 〜ゆるミニマリストが教える がんばらない整理術〜』p.68より引用
収納の工夫がいるうちは、ものの量がまだまだ適正ではない可能性が高いから。
マインドシフトができたら、いま家にあるものと向き合って、ものの量を減らすのが大切です。
ここで「ミニマリストになろう」「片付け本に書いてあったように極限まで減らさなくちゃ」と考える必要はありません。自分のやり方は自分で決めていいのです。
ものを買うときやもらうときに、置き場所があるのとないのとでは、置き場所がある方が圧倒的に財布のヒモも気持ちも緩みます。
だって、ものを家に招く環境が整っているんだもの。
逆に、置き場所がなく、家に環境が整っていなければ、容易にものを増やさなくなります。財布のヒモも気持ちも固結び。収納グッズは置いているだけで、ものを家に誘います。
なので、収納グッズを減らせば減らすほど、家は片づくのです。
『片付けは減らすが9割 〜ゆるミニマリストが教える がんばらない整理術〜』p.69より引用
結局、ものを増やせない環境を作ることが、ものを増やさないコツなのです。
これに関しては、実感や苦い思い出がある人もいるのではないでしょうか。あふれるものを収納の工夫でなんとかしようとするのではなく、自分や家族にとって「必要なもの」「適正量」を考え、それに合わせた家具を置けば、収納を頑張る必要はなくなります。
【感想】自分の「ちょうどいい」が見つかる
阪口ゆうこさんの『片付けは減らすが9割 〜ゆるミニマリストが教える がんばらない整理術〜』は全編が語り掛けるような口調で書かれており、時には「心の声」や「ツッコミ」も登場します。
いわゆる「片付けの教科書的」な本ではありません。押しつけがましさもありません。
でも、「片づかないループ」から抜けられずに苦しんでいる人、肩を張らずにものを少なくして、片付けのストレスと労力を減らしたい人におすすめの一冊です。
家族人数にかかわらず、自分にとって必要なものや適正量がわかるヒントが見つかりますよ。
もくじの紹介
本書のもくじを紹介します。
- はじめに 「完璧な片付け」は、もういらない
- 第1章 「優しい人ほど片付けベタ」という私の仮説
- 第2章 衣食住の「がんばらない」減らし方
- 第3章 減らすときの「困ったあるある」Q&A
- 第4章 ものを減らすと「お金とか時間」でもこんないいことあった
- おわりに 結論、「片付けの極意」はどこにある?