整理収納コンサルタント・瀧本真奈美さんの『あなたを苦しめるものは、手放していい』は、タイトルの通り、あなたを苦しめるものや考え方を手放して、体も心もラクな暮らしをめざすことを提案する本です。
たとえば、ものが多くて片づけられない、掃除が大変、「◯◯しなきゃ」、「◯◯であるべき」と考えてしまう…。そういった自分を苦しめるものや思考を手放して、住まいも自分の心の中も風通しをよくし、心地よく軽やかに暮らすヒントが詰まっています。
【要約】あなたを苦しめるものは、手放していい
著者の瀧本真奈美さんは、若いときは「DIYでものを作る」、「たくさん飾る」ことが大好きだったそう。しかし、50代を前にして自分の気持ちや体力に向き合い、よりシンプルな暮らしにシフトしたといいます。
キーワードは「手放す」。過去の自分を否定するのではなく、「今」を大事にしようと決め、今の自分が心地いいと感じられるように、ものを手放す、減らすことを実践されているそうです。
住まいを素敵に飾りつけることと、すっきり片づけることは、真逆に聞こえるかもしれません。しかし、自分や家族がそこで笑顔で楽しく暮らすという目的な叶っているのなら、どちらを選んでもいいのです。
本書の最初のほうに「それ、あなたを苦しめていませんか? CHECK LIST」があります。
『あなたを苦しめるものは、手放していい』p.14より引用
- 片づけしにくくて、ストレスがたまる
- 出し入れがしにくい
- 掃除をするのが面倒&大変
- クリーニングなど、お金がかかる
- その状態を維持するのに、手間がかかる
- あまり使わないけれど、高価だった
当てはまるものが多い=生活の中に苦しいものが多いなら、シフトチェンジすることで、暮らしがもっとラクになるでしょう。
写真とともに紹介されている”瀧本家に今あるもの”と、「まあいいか」と肩の力が抜けてきた家事やインテリア、身だしなみのコツを読めば、体も心もラクな暮らしのヒントが見つかります。
どちらかというと、小さいお子さんのいる若い人よりも、がんばらなくて心地いい暮らしを叶えたい40~50代以降におすすめ。
罪悪感なく、ものを手放せる考え方
本書より、瀧本さんの「ものを手放す」考え方を引用します。
「買う」のはいけないことじゃない。ものを「循環させる」と考えて
世の中は「捨てる」ブーム。この本でも「手放す」「減らす」ことをおすすめしていますが、ものを買うのはいけないことではありません。
欲しいものを我慢するという行為も、自分を苦しめるものの一つ。買い物が好きだったら、買っていいんです。好きなものを買うことで、気分は間違いなく上がります。
『あなたを苦しめるものは、手放していい』p.22より引用
厳選してものを買い、買ったものとの暮らしを十分に楽しんだと思えたら、そのときは誰かに譲る……。瀧本さんは、ものをもつ喜びを循環させるのが、「買う」ということ、と語っています。
捨てることを目的にするのでもなければ、とにかく買わないようにするわけでもありません。
ミニマリストを目指すような、ストイックな片づけ本がちょっと苦手という人も、この本に書かれている「ものの手放し方」は受け入れやすいのではないでしょうか。
ものを手放すのが苦手な人たちが、よく口にすることばが「高かったから」。でも購入価格を使用期間で割ってみて。10万円のソファでも10年所有すれば、100000円÷3650日≒24.7円。つまり、1日24.7円で、そのソファを楽しめたことになります。そう考えると「もう十分、ありがとう」という気持ちで手放せそう。
ものの価値(値段)は、日々下がっていきます。「使わずに価値を下げる」より、手放して必要な誰かに使ってもらうほうが、もの自身も喜ぶのでは? ものは使われてこそ生きると私は思います。
『あなたを苦しめるものは、手放していい』p.25より引用
「(高かったのに)捨てるなんてもったいない」にとらわれすぎて、今の暮らしに不便さや居心地の悪さを感じているのだとしたら、本末転倒です。
その買い物が失敗だったわけではなく、そのものは過去の自分にとっては必要だった、でも「今」の私にはもう必要ない。そう思えたら、罪悪感なく手放せそうですね。
無理なく、今の自分の気持ちや体力に向き合って、ものや「○○であるべき」という考えを手放していけば、暮らしが”上がる”、”ラクになる”。この本を読むと、そんな考え方をインストールできます。
【感想】考え方と具体的なやり方の両方がわかる
本書の前半には、上で引用したような瀧本さんの「ものを手放す」考え方が書かれていますが、後半ではたくさんの写真とともに「何をどう手放したのか」「どう整理収納しているのか」が解説されています。
すべて同じようにする必要はありませんが、「なるほど、そういうふうにすればいいのか」「それもアリなんだ!」というヒントがきっと見つかるでしょう。
- 掃除・片づけ→「毎日、家じゅうを掃除」という自分を苦しめるルールを手放しました
- ごはんづくり→ 品数や手作りへのこだわりを手放し、子どもが巣立ってからはより簡単に
- 身だしなみ→ 若い頃は「持っていること」がうれしかった。けれど今は「心地よさ」が何より
子どもの手が離れたり、ライフステージが変わったりして、「以前の暮らしがどうにもしっくりこない」と感じている人、特に40代~50代以降の人には、こうした瀧本さんの考え方は参考になると思います。
もくじの紹介
Amazonから本書のもくじを引用します。
- CHAPTER1 手放すごとに、暮らしが「上がる」
手放して、ラクになりました
手放すコツ/しまうコツ/飾るコツ/買うコツ
- CHAPTER2 今の我が家の適量に
もの、手放しました
1F キッチン/クローゼット/リビング/玄関/洗面所/浴室
2F フリースペース/寝室/孫部屋
- CHAPTER3 「まあいいか」が増えてきた
もの以外も、手放しました
掃除、片づけ/ごはんづくり/インテリア、DIY/身だしなみ
- COLUMN1 我が家に10年以上ないもの
- COLUMN2 片づけられない夫の大変身!
- COLUMN3 防災グッズの備えについて
- COLUMN4 家族との向き合い方
- COLUMN5 「クラシング」でお気に入りを見つけて
- COLUMN6 活動を豊かにするために取得した資格