断捨離で有名なやましたひでこさんの著書『モノが減ると、家事も減る 家事の断捨離』は、家事を面倒で大変なものにしている思い込みを断捨離して、「家事を愉しく面白く」することを目指した本です。
「きちんと家事ができていないことを後ろめたく感じている」
「やろうやろうと思いつつ先延ばしになっている家事がある」
「いくら片づけても部屋がすぐ散らかる」
もしそう感じているなら、この本を読むことで見も心も軽くなれることでしょう。
【要約】モノが減ると、家事も減る 家事の断捨離
「家事を愉しく面白く」するためには、モノを捨てることが第一歩、とやましたひでこさんは書いています。モノを右から左へ移動しても、あるいは収納グッズを買ってきてうまく収納できたとしても、モノはなくなりません。
そして、モノがある限り、メンテナンスの手間と時間はかかりつづけ、空間は占拠され続けます。余計なモノを捨てることで、時間と空間、心のゆとりが戻ってくるというのが本書の考え方です。
やましたひでこさんの提案する「断捨離」の基本は以下の通り。
断捨離とは
・断…なだれ込むモノを「断」つ
・捨…いらないモノを「捨」てる
・離…「断」と「捨」を繰り返し、モノへの執着から「離」れる
第1章では、「家事の常識」を断捨離し、家事を面倒で大変にしている思い込みをなくします。「え、それでいいの?」と思うかもしれませんが、よくよく考えてみれば「確かに、そのほうが理にかなっている!」と気づくでしょう。
第2章では、平日の帰宅後夕方6時からの「夜家事」の流れを解説。やましたひでこさん流の維持管理のルール、料理のルール、後始末のルールについて書かれています。
第3章では、朝6時からの「朝家事」の流れを解説。「いってきます」の前にこれだけやっておくと後がラクになる、掃除のルール、洗濯のルール、支度のルールについて紹介されています。
第4章では、休日を家事でつぶさない「週末家事」を解説。平日にためこんだ家事を週末にまとめてやるのではなく(そんなことをしたらせっかくの週末が家事で終わってしまいます)、有意義な家事との付き合い方について書かれています。
本書の目的は、、断捨離を通して、思い込みを捨て、手間を減らし、身も心も軽くなること。
タイトルには「モノが減ると、家事も減る」とありますが、それは単にモノのメンテナンスというだけでなく、モノへの執着を手放すことで生まれる感情の変化が大きく関係している気がします。
最適量のモノを持ち、家事の手を抜く
やましたひでこさんは、「最適量のモノを持つ」「家事の手を抜く」ことで家事を減らそうと提案しています。
最適量のモノを持つ
やましたひでこさんは、「ラベリング収納術」がうまくいく人はごく一握りだといいます。
普段から忙しくしている人たちにとっては、ラベリング収納術でモノを維持管理することはとても難しいので、「もうやめてしまいませんか?」と提案しています。
ラベルを貼って管理しなければならないほどモノを持たないで、と私は言いたいのです。そもそも、ラベルのもとに、使ったモノを戻すという発想もまちがい。モノが過剰になければ、どこに戻しても一目瞭然というのが断捨離です。
(中略)
整頓・収納する前にすることは、
・モノを減らす。
・モノを絞り込む。
・モノを選び抜く。つまり、断捨離が不可欠です。選び抜かれた最適量のモノだったら、たとえ散らかったとしても回復が容易ですから。
『モノが減ると、家事も減る 家事の断捨離』p.24~25より引用
もちろん家族構成や家の間取り、ライフスタイルによって最適なモノの量はことなります。でも、家からモノを減らすことは、間違いなく家事の手間を減らすことに役立つでしょう。
10年前のあなたに必要だったものが、今のあなたにも必要とは限りません。
「何かに使うかもしれない」「捨てるなんてもったいない」といって納戸をパンパンにしているのは、捨てる判断を先送りにしているだけではないか?と考えてみる必要がありそうです。
家事はもっと手を抜く
「家事に後ろめたさを持たない」の章では、手をかけるべきところで手を抜いていたり、手間をかけられないでいたりして、後ろめたさや罪悪感を持っている人に向けて「もっと手を抜こうよ!」と訴えています。
昔のお母さんは、手間ヒマかける文化の中にいたというのもあるでしょうし、機械化されていないぶん手間をかけざるを得なかった面もあるでしょう。今は技術的な進歩もあり、手間をかけなくてもいいことが増えています。
それでも、やっぱり主婦として、母として、手間をかけたほうがよしという感覚がそこはかとなく残っています。
あなたが気にしているのは何ですか? 他人の目? 家族の目?
『モノが減ると、家事も減る 家事の断捨離』p.27~28より引用
これを読んで、ドキッとした人もいるのではないでしょうか。完璧にできないことが罪悪感やストレスになったり、あるいは逆に「こんなにがんばっているのに誰も褒めてくれない」と被害者意識を持ってしまったりするなら、ぜひ本書を読んでみてください。
「よき母」「よき主婦」という他人の目や、「がんばる=エライ」という意識、手作り信奉を手放せると、家事はもっとラクになりそうです。
親世代とは暮らし方も働き方もまるで違うのに、昔の家事の常識に縛られて、「こうすべき」と思い込んでいたことに気づくかもしれません。
【感想】手間ヒマかけない合理的な思考が大切
本書では、家事の常識を断捨離して、思い込みを捨て、「もっと家事の手を抜こう!」と提案をしています。手を抜くという言葉に抵抗があれば、「手間ヒマかけないようにしよう」でもOKです。
女性も外で働く現代は、もはや「手間ヒマかけることが美徳」とされる時代ではないでしょう。仕事や子育て、趣味、勉強……、自分のやりたいことのために時間を使いたいなら、家事の負担は減る方がいいに決まっています。
ガッツリ家事をしたり、丁寧な暮らしを目指したりするのではなく、最低限の家事で十分に生活が回る状態を維持したいなら、合理的思考が大切です。
カジコレでも「ネットスーパーを利用して自分で買い物に行かない」ことや「洗濯系サービスの利用で家事をラクに」することを提案しています。「がんばる=エライ」ではなく、大切なのは、手間ひまかけず、自分と家族が快適に暮らせる状態を作ること。
また、「ドラム式洗濯乾燥機を導入するメリット」も紹介しています。家事削減効果の大きな家電を購入することは、贅沢ではなく、大切な時間を手に入れるための「投資」と言えるでしょう。
もくじの紹介
本書の目次を紹介します。
- 第1章 「家事の常識」を断捨離する
- 第2章 夕方6時からの「夜家事」 「ただいま」から始まる しなやか家事
- 第3章 朝6時からの「朝家事」 「いってきます」の前にこれだけは
- 第4章 「週末家事」 休日を家事でつぶさない!