インスタグラマー・ボンベイさんの著書『家事なんて適当でいい!』は、「死なせない」育児を最重要ミッションに掲げ、実践してきた暮らしと子育ての工夫・考え方をまとめた本です。
『家事なんて適当でいい!』というタイトルですが、家事本というより、子育てや暮らしに関する考え方の本なので、乳幼児の子育て真っ最中で、思うように家事ができず自己嫌悪になっている方に向きます。
いま子育てがつらいと感じているなら、子どもとの暮らしを楽にするヒントが見つかるかもしれません。
【要約】家事なんて適当でいい!
1人目育児のときに、「良い母」「良い妻」「良い嫁」になろうと必死で、一人で完璧にすべてをこなさないといけないと思い込み、ノイローゼのようになってしまったというボンベイさん。
「育児中、ママは常にギリギリのラインに立っていて、もしかしたら、毎日のようにニュースを賑わす虐待だって他人事じゃない!」と感じていたといいます。
双子の妊娠を機に、「長子のときと同じやり方、考え方では無理だ」と思い、
- 家族全員が笑顔でいられることを最優先する
- 子どもはもちろん、親である自分も大切にする
- 理想の高い完璧主義を手放す
…の3つを意識しながら「死なせない」という最低ラインの上で育児を始めたそうです。
本書は、そんなボンベイさんの試行錯誤から生まれた暮らしと子育ての工夫・考え方をまとめたもので、「第1章 楽になる家事」「第2章 楽になる育児」「第3章 楽になる行動」「第4章 楽になる考え方」の4章から構成されています。
”お母さん”を頑張りすぎている人に向けて、「家事なんて適当でいい」から、家族と笑顔で暮らすために無理しないで毎日を過ごしましょう、というメッセージがちりばめられています。
そのため、現在育児の真っただ中で毎日つらいと思っている人には非常におすすめな一方、子育てをしていない(大変な時期はすでに終わった)人にとってはピンとこない内容かもしれません。
育児中のママの「〇〇じゃなきゃ」というメンタルブロックを外して、「〇〇でもいいじゃない?」と優しく言ってくれる本です。
育児をしながら無理なく家事をしていくための考え方
『家事なんて適当でいい!』は家事のノウハウ本というより、育児をしながら無理なく家事をしていくための考え方を書いた本です。その考え方をよく表している部分を引用します。
決して裕福なわけじゃない。
それでも優先順位をつけて家事も育児もお金で解決できることは惜しまない。これから長い子育てが始まるし、家も買いたいし、貯金も心許ない金額しか貯まっていないし……。でも、「今」をなんとか生き抜かなきゃ「明日」もない。自分自身が潰れてしまって、子どもを傷つけてしまうくらいなら、将来のお金を貯める意味もない。
そう、楽するための道具やサービスを利用するなら、まさに今がお金の使いどきなのです。例えば、食材宅配サービスには宅配料がかかるし、料理キットは割高です。でも、幼い子どもを抱えてスーパーに買い物に行く手間と時間、献立を考えるストレスがなくなるなら、私はそれにお金を払いたい。
『家事なんて適当でいい!』p.26~27より引用
ボンベイさんは、やるべきことと、お金で解決できることをうまく使い分けて、極力自分の負担をなくすようにしています。「お金があるからお金で解決する」ということではなく、「自分が今、使うべき」と思うところにお金をかけているわけです。
自分でやれば安く済ませられるかもしれません。でも、そのためにあなたの時間や労力を費やし、限界ぎりぎりになってしまうのだとしたら……。手間や時間を省くためにお金を使うのは、合理的な判断だと言えるでしょう。
毎食考えるのも作るのも苦痛すぎて、もはやルーティン作業としか思えない。
私はやっぱり「料理がきらい」でいい。子どもの成長を考えた栄養バランスの良い食事は作りたい。しかし、毎回レシピを見ながら作るのは避けたい。できれば手早く、簡単に。そこで、この状況を打破するために考えた秘策が……。
「週に4日は豚汁とごはん」
『家事なんて適当でいい!』p.40~42より引用
豚バラ、にんじん、大根、ごぼう、玉ねぎ、長ねぎ、里芋などなど。お肉でしっかりタンパク質と脂質も摂れて、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な野菜もたっぷり。これに炭水化物のごはんを加えれば最高じゃないか! 一汁一菜で十分栄養が摂取できる!
世の中に「時短レシピ」や「簡単レシピ」はたくさんありますが、料理ぎらいにとっては、そもそも「料理に取り掛かる」こと自体が苦痛だというボンベイさん。
週の半分以上を「豚汁」を基本としたアレンジ料理(豚汁の具材を変えたり、シチューやカレーにアレンジしたり)にするだけで、献立を考える苦痛がなくなったといいます。
「毎日違う献立にしなきゃいけない」「一汁一菜を作らないといけない」。もしそんな呪縛があるなら、「ちゃんと栄養が取れるならなんでもいいじゃない」と考えを変えれば、ラクになれるのではないでしょうか。
何でもかんでも適当に…というのではなく、優先順位をつけて、大事なことが守れればあとは適当でもいいじゃない!という考え方ですね。
【感想】子育て中で限界ギリギリの人におすすめ
冒頭にも書いたように、『家事なんて適当でいい!』は、現在子育て真っ最中で「つらい」「もう無理」「どうしていいかわからない」と思っている人の心をラクにしてくれる本です。
「第1章 楽になる家事」「第2章 楽になる育児」「第3章 楽になる行動」「第4章 楽になる考え方」の4章には、あなたがラクになるヒントがたくさん載っています。
全部をそのとおりにする必要はありませんが、「これもアリなんだ!」「それでいいんだ」と思えたら、「〇〇でなくちゃ」の呪縛から解放されて、柔軟に考えられるようになれるでしょう。
家事ノウハウの本ではないので、具体的な家事のやり方を知りたい人にはおすすめしませんが、子育て真っ最中で、「そういえば最近笑顔を忘れてるかも」という人はぜひ読んでみてください。
もくじの紹介
Amazonから『家事なんて適当でいい!』のもくじを引用します。
- 第1章 楽になる家事
ミニマリストになりきる
栄養バランスは1週間で組み立てる
残り体力別ごはん
など - 第2章 楽になる育児
今しなくていい苦労はしない
寝る前の大騒ぎタイム
ベビーサークルフル活用
今日だけは絶対に怒らないと決める
など - 第3章 楽になる行動
一度すべてをやめてみる
夜だけスマホ断食
1時間早く起きて朝のイライラ解消
など - 第4章 楽になる考え方
母親として自信のある人はいない
言わなくてもわかってほしいをやめる
おばあちゃんに懐くのがイヤ
など