洗濯物が臭くなる原因は「部屋干し」ではありません。洗濯物に汚れや雑菌が残ったまま干すからニオイが発生してしまうというのが真実であり、汚れ残りや雑菌少ない状態で素早く乾かせばニオイは発生しないのです。
洗濯物のニオイの3大原因は、臭いの原因菌の繁殖、汚れ残り、洗濯槽のカビです。すでに臭いが気になっているなら、洗濯物を熱で殺菌するか、アルカリ系の洗剤で除菌しましょう。月1回ほど塩素系の洗濯槽専用洗剤か酸素系漂白剤で洗濯槽のカビを除去すると効果的です。
日常的には、汗や皮脂がついた服を長時間放置しない、裏返して乾かす、乾燥機を使用するといった工夫でニオイを予防できます。
この記事では、洗濯物にニオイを発生させないための正しい洗い方を詳しく紹介します。
ついやりがちなNG行動って?
汗を大量にかく夏は、洗濯物が臭くなりがち。
- 部屋干しした衣類がニオウ・・・
- 帰宅後の靴下が悪臭を放つ・・・
- 近くに座った人の服が臭い・・・
どれも、何とかしたい!
実は、衣類の悪臭は「ついやりがちな行動」からうまれます。あなたは大丈夫でしょうか?
NG行動
- 洗濯機内に衣類を放置する
- 衣類が長時間湿ったまま
- ぎゅうぎゅう詰めで洗う
- 週1回程度まとめて洗う
- 洗剤を多めに入れる
- 柔軟剤を多めに入れる
- ツメツメで部屋干ししている
- 部屋の隅に干している
わ、思い当たることがいくつもある…
洗濯物のニオイの3大原因
洗濯物が臭くなる原因は大きく分けて3つあります。
【洗濯物が臭くなる3大原因】
- 臭いの原因菌の繁殖
- 汚れ残り
- 洗濯槽のカビ
臭いの原因菌の繁殖
洗っても洗濯物が臭う主な原因は以下の通り。
1つ目は「生乾き臭」「部屋干し臭」の主原因であるモラクセラ菌です。
2つ目は、着ているうちに臭ってくる「汗のニオイ」の主原因であるマイクロコッカス属細菌です。
上記2つに加えて、タオルは「菌のかたまり(バイオフィルム)がタオル内に菌叢(きんそう)を作る」こともニオイの原因になっています。※菌叢とは、ある場所に存在する全ての菌の集合体です。
いずれも花王が研究により突き止めました。
モラクセラ菌の特徴
- ひとの皮脂を食べて雑巾をのようなニオイ物質を排出
- 温度20~40℃・湿度60%以上で増殖
- いつもの洗濯では死滅しない
- 紫外線に強く天日干ししても死なない
マイクロコッカス菌の特徴
- 人間の皮膚の上にいる常在菌
- 汚れと水分を好む
- 皮脂などの油脂系の汚れを分解し、汗臭いニオイを発生
- 衣類を着用中に増殖する
- 原因菌を着用中に増殖させない、洗濯で衣類から除去することが重要
汚れ残り
衣類に残った汚れもニオイの原因になります。以下が汚れ残りの主な原因です。
- ぎゅうぎゅう詰めて洗い、汚れが落ちきらない
- 節水モードで洗っていて、すすぎが不十分
- 洗剤や柔軟剤を入れすぎて、洗剤が衣類に残ったまま
- 残り湯で洗っていている(皮脂や雑菌を含んだ水で洗っている)
- ひどすぎる汚れで、1回の洗濯では落としきれない
洗濯槽のカビ
洗濯槽のカビもニオイの原因になります。洗う前に衣類を洗濯槽に入れていたり、半年以上も洗濯槽を掃除していなかったりする場合は、カビがひどくなっているかもしれません。
洗濯の嫌なニオイ、なかなか手強いです。しかし、そんな臭いを解決する方法がちゃんとあります。
洗濯物の臭いを解決する方法
ここからはニオイの原因の解決策を紹介します。
既に臭い場合はまず殺菌!
モラクセラ菌をはじめとする雑菌は、熱やアルカリ系の洗剤に弱いです。その弱点を攻めましょう。
- 濡らして1〜3分、電子レンジでチン(タオル、Tシャツなど綿素材に限る)
- アイロンをかける
- 煮沸消毒する
- 「60℃のお湯+オキシクリーン(粉の酸素系漂白剤)」でつけ置きをしてから洗濯する(人の皮脂や汗は弱酸性なので、反対の性質を持つアルカリ性の洗剤で菌を撃退)
最もニオイがつきやすい「綿素材のタオルやTシャツ」なら、レンジでチンが1番簡単なのでおすすめです。
ただし、安全のためにレンジで温めている間は目を離さないでください。
また綿以外の素材は溶けてしまったり、金属の付属品が燃えてしまったりと危険です。絶対にレンジにかけないでください。
次におすすめなのは、「洗面ボールに60℃のお湯をためて、酸素系漂白剤につけこんで1〜2時間置いてからの洗濯」です。こちらは綿・麻・ポリエステルなどに有効です。
ただし、この方法はアルカリ性の性質で除菌します。ウールやカシミアなどの獣毛繊維の衣類は縮んでしまうのでやめましょう。
洗濯の裏技を使って日常的に防臭する
洗濯物のニオイは日常の洗濯を通して予防できます。知ってしまえばどれも簡単なので、ぜひ取り入れてみてください。
洗う前の工夫
- 衣類は裏返しにぬぐ
- 洗うまで吊るしておく
- 使用後のタオルも吊るしておく
菌は湿ったところで繁殖します。繁殖を最小限に抑えるためには乾燥が効果的です。
脱衣所に簡単な干場を作り、洗うまでのあいだ干しておくとニオイの予防になります。
また、洗う時のことを考えて、衣類を裏返しにぬいでおくと後がラクになります。
洗い方の工夫
- 毎日洗う
- 裏返しで洗う(皮脂や汗がよくおちる)
- いつもの洗剤に加えて粉の酸素系漂白剤を少量入れる
乾いていると菌の繁殖力は下がります。なるべく毎日洗濯をして、菌を増殖させないようにすると予防効果は絶大です。
また、衣類は内側のほうが皮脂や汗が沢山ついています。菌の餌である皮脂などをできるだけ落とすために裏返しにして洗うと汚れをより落とせます。
菌はアルカリに弱いので、通常の洗剤に加えて、アルカリ性の酸素系漂白剤(粉)をスプーン1杯ほど入れて洗濯をすると菌を減らせます。
ただし、酸素系漂白剤は40℃ぐらいのお湯で威力を発揮することと、冷水には溶けにくい性質があります。
冬は同じような効果があり水に溶けやすいセスキ炭酸ソーダに変えると良いでしょう。
乾燥の工夫
- 裏返しのまま干す
- 乾燥機で乾かす
- 除湿機や扇風機を併用する
- 高い場所に干す
- 風通りのいい場所に干す
ニオイ予防のポイントはできるだけ早く乾かすことです。裏返して干すとポケットの中や縫い目も早く乾きます。
部屋干しをするなら扇風機や除湿機を併用しましょう。エアコンのそばに干すのも効果的です。
洗濯物は高い場所や空気のよく通る場所に干すと早く乾きます。天井に近く、部屋の中央にあたる場所に干せるならそうしましょう。
最強の乾かし方は、ドラム式洗濯乾燥機の乾燥コース、乾燥機、浴室乾燥機などにかけて速攻で乾かすことです。お家にある場合はフル活用してください。
持っていない場合は、ドラム式洗濯乾燥機や乾燥機の購入を検討してみてください。ニオイだけでなく、家事がラクになる効果も大きいです。
洗濯槽のカビを退治する
洗濯槽の中は、湿気と温度ともにカビにとってパラダイスです。月に1回のペースで洗濯槽のお掃除をすると、悪臭の予防効果があります。
洗濯槽のカビとりをする方法は2つあります。
- 塩素系の洗濯槽専用洗剤を使う
- 酸素系漂白剤を使う(オキシづけ)
酸素系漂白剤(いわゆるオキシづけ)はカビを剥がしてくれます。強力な洗剤なので、黒くてピラピラしたカビが洗濯槽内に浮いてきます。この回収には手間がかかりますし、気持ちもよくありません。
一方、塩素系漂白剤のカビキラーやカビハイターを使った時に、黒いカビが消えてなくなるのを見たことがあると思います。
塩素系の洗濯槽専用洗剤はこれと同じです。洗濯槽のカビを分解してくれるので、黒い汚れをすくい取るなどの手間は一切かかりません。
できるだけ手間をかけたくないなら、塩素系の専用洗剤がおすすめです。
洗濯物の臭い対策をするなら、まずは最も簡単な「臭う衣類のレンチン!」からやってみてください。洗濯槽のカビ退治もぜひ。
そして日頃は、衣類を裏返しにして洗い、なる早で乾かしましょう。これで臭いの悩みはほぼ解決します。