アルコールには油脂を溶かす性質があるので、キッチンの油汚れや手あかなどの皮脂汚れがよく落ちます。除菌効果もあるためトイレの拭き掃除にも便利です。揮発性が高く、水が苦手な電化製品の掃除にも使えて、二度拭きもいりません。カビ予防にも効果的です。
引火しやすい性質があるので火の近くで使ったり保管したりしないよう注意しましょう。
アルコール(エタノール)とは
アルコールと言えば、一般的には「エタノール」を指します。エタノール成分がほぼ100%の純粋なもの(水分0.05%以下)は、「無水エタノール」と呼ばれます。
消毒や殺菌のイメージが強いエタノールですが、無水エタノールのままでは殺菌力はありません。水を加えることによって初めて殺菌作用が現れます。
手指の消毒用エタノールは濃度が70~80%のものが多く、キッチン用として市販されているアルコール製品は手指の消毒用よりも濃度が低いものが多いです。
※以下、本文中は「エタノール」ではなくすべて「アルコール」と表記。
水溶液の液性 | 中性(およそpH7) |
特徴 | 水にも油にも溶けやすい、揮発性あり |
手肌への優しさ | 手荒れしやすい人はゴム手袋を使用 |
時短になる理由
- キッチンの油汚れ落としと除菌が一度にできる
- 食品に触れても安全なので冷蔵庫のドアや庫内の掃除が簡単にできる
- 揮発性が高く、水が苦手な電化製品の汚れや手垢を落とすのに便利
- カビの発生を予防できる
- トイレの便座裏、ふち上、床、フタの拭き掃除がトイレットペーパーでできる
購入のしやすさ
スーパー・ドラッグストアなどの実店舗 | 売っている店が多い |
amazon・楽天などのネットショップ | 売っているサイトが多い |
使用上のデメリット
アルコールは溶剤(他の物質を溶解させる能力を持つ液体)です。ワックスや塗装などを溶かしてしまう作用があるので、使えるものと使えないものをしっかり確認しましょう。
編集部で使用した結果、樹脂系の建材やクッションフロアでは問題は起こりませんでしたが、木製フローリングのコーティングは溶けました。築年数の古いお家の建材やフローリング、家具に使うのは避けたほうが良いでしょう。
こんな人におすすめ
- 二度ぶき不要で、油汚れや皮脂汚れをラクに落としたい人
- 冷蔵庫やレンジなど食品に触れるところを衛生的に保ちたい人
- 電化製品に付着した手垢などの汚れを落としたい人
- 掃除といっしょに除菌やカビ予防もしたい人
- 水洗いしにくいものの汚れを手早く落としたい人
- トイレ掃除を時短したい人
- トイレを清潔に保ちたい人
おすすめできない人
- 水垢汚れを落としたい人
- 研磨の力で汚れを削り落としたい人
- フローリングや塗装製品、樹脂製品などの汚れを落としたい人
特におすすめの用途
アルコールを掃除で使う方法
アルコールは、消毒・殺菌に使うものと思われがちですが、実は掃除にも使えます。油脂を溶かす性質があるので、キッチンの油汚れや手あかなどの皮脂汚れがよく落ちます。
直接スプレーして拭き取るか、布やペーパータオルなどに吹き付けて拭くだけでよく、二度拭きは不要です。すぐに蒸発するので、水が苦手な電化製品やコンセントの拭き取り掃除にも使えます。
キッチンの油汚れ
キッチンの消毒用アルコールで、コンロや換気扇などの油汚れを落とせます。
アルコールはアルカリ洗剤が使えないアルミ製品にも使えます(アルミを長時間アルコールに漬けると腐食する可能性がありますが、スプレーして拭き取る程度なら問題ありません)。
冷蔵庫
食品に触れても安全なアルコールは、冷蔵庫の庫内やドアの掃除にもぴったりです。油汚れや皮脂汚れを落とすついでに除菌もできます。
カビが気になる場所
カビが生えやすい場所は、たまにアルコールで拭いておくと、カビの発生を予防できます。押し入れやクローゼットなど湿気を入れたくない場所の掃除とカビ予防にも便利です。
電化製品
揮発性が高く、二度拭きの要らないアルコールは、水が苦手な電化製品の掃除にも重宝します。鏡、ドアノブ、手すり、スイッチパネルなどの拭き掃除にぴったりです。
電化製品に直接スプレーするのは避け、布にスプレーしてから拭くようにしましょう。電化製品の細かいところは、アルコールをしみこませた綿棒で掃除すると良いです。
ただし、リモコンなどに印刷されている文字は、アルコールが触れることでだんだん剥げてくる可能性があるので注意してください。
トイレ掃除
揮発性が高く除菌効果があり、二度拭きの要らないアルコールは、便座裏や便器のフチ、床の掃除に最適です。トイレットペーパーも溶けにくいのでトイレ掃除での使い勝手は抜群です。
安全に使うために知っておきたいこと
さまざまな用途に使えて便利なアルコールですが、安全に使うために知っておきたいことがいくつかあります。
火気厳禁
濃度の高いアルコールは引火しやすい性質があるので、火の近くで使ったり、保管したりしてはいけません。どんな用途であっても、火の気のないところで使うよう心がけましょう。
換気をする
アルコールは揮発性が高く、揮発しても空気中にアルコール成分が残ります。締め切った空間で使うと肌や呼吸器への刺激で気分が悪くなることがあるので、必ず換気をするようにしてください。
使えない素材に注意
油脂の溶解作用があるアルコールは、家具の塗装やニスを溶かしてしまうことがあります。
また、プラスチックも種類によっては、アルコール耐性がないので、割れ ・ヒビ ・ 変色が起こることがあります。透明なアクリル樹脂やスチロール製品は白濁してしまうので注意が必要です。
革製品の光沢をなくす作用があるので、革張りのソファや靴・かばんなどには使わないこと。
素材が確認できないものや大切なものに使うときは目立たない場所で試してからにしましょう。
ただ、材質的に問題がなくても、コーティングされているものは、コーティングがはがれる可能性があります。
便利なアルコールですが、ワックス・塗装・コーティングなどを溶かしてしまう作用があるので、アルコール耐性があるもの限定で使うのが良さそうです。
- アルコールを使ってもいいもの
- ガラス○
ステンレス○
アルミ○(長時間の漬け置きは不可)
下記のプラスチック・樹脂○
・ポリエチレン(PE)
・ポリプロピレン(PP)
・ポリ塩化ビニル(PVC)
・メラミン樹脂(MF)
オイル塗装△(オイルを塗れば復活する)
メラミン化粧板○ - アルコールを使わない方がいいもの
- ゴム製品×
皮革製品×
下記のプラスチック・樹脂×
・ポリスチレン(スチロール樹脂・PS)
・ポリエチレンテレフタレート(PET)
・ABS樹脂(ABS)
・AS樹脂(AS)
・アクリル樹脂(PMMA)
液晶画面×
フローリング×(ワックスが溶ける)
ウレタン塗装△(短期使用ならOK。長期使用で劣化する)
ラッカー塗装×
日常の掃除が目的なら、アルコールを35%程度に薄めて使うと電化製品の塗装やコーティングなどに与えるダメージが比較的少なくなります。
無水アルコールと使うとき
水65ml+アルコール35ml
消毒用アルコール(80%)を使うとき
水110ml+アルコール90ml
希釈する際は、アルコール対応のスプレーボトルを使う必要があります。上写真の無印良品「ポリエチレンスプレーボトル」はアルコール対応です。
上の「アルコールを使ってもいいもの」に記載されている材質か、「アルコール対応」と書かれているスプレーボトルを使うようにしましょう。100円ショップでも販売されています。
アルコールで玄関のニスが剥げて白くなったことがあるため、個人的には床や棚の上に直接置くよりも、ノズルでバーにひっかけて収納すると安心です。またノズルは「OFF」にして保管しましょう。
市販の代表的なアルコール製品
ドラッグストアやホームセンターなどで購入できる代表的なアルコール製品を紹介します。
名称 | パストリーゼ77 | キッチン用 アルコール除菌 | キッチン用 アルコール除菌 | エタノール | 消毒用エタノールIP「ケンエー」 |
メーカー | ドーバー | ジョンソン | フマキラー | 健栄製薬 | 健栄製薬 |
アルコール濃度 | 77vol% | 未公開 | 未公開 | 76.9~81.4vol% | 76.9~81.4vol% |
内容量 | 1,000ml | 400ml | 400ml | 500ml | 500ml |
参考価格 | 1,490円 | 360円 | 360円 | 780円 | 500円 |
100mlあたりの価格 | 149円 | 90円 | 90円 | 156円 | 100円 |
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- 消毒用エタノールと消毒用エタノールIP(IPA)の違い
「消毒用エタノール」には酒税がかかっています。
「消毒用エタノールIP(IPA)」にはイソプロパノールという添加物が入っていて、飲用扱いではないので酒税はかかりません。
酒税がかからないぶん消毒用エタノールより安いですが、使い方や殺菌力は同じです。
※「消毒用エタノールIP」と「消毒用エタノールIPA」の中身は同じものです。
アルコール(エタノール)について
名称 | エタノール/エチルアルコール | |
pH | 約7(中性) | |
使いみち(掃除) | 油汚れを落とす 水が使えない場所の拭き掃除 除菌 | |
特徴 | 水にも油にも溶けやすい 60~95%水溶液で殺菌作用を示す(水分を含まない無水アルコールには殺菌作用がない) | |
保存方法 | ・揮発性があるので、密閉して保存する ・プラスチック・樹脂製の容器で保存するときは、アルコール耐性のあるものを選ぶこと。 | |
注意事項 | ・引火性があるので使用や保管の際には火気厳禁。 ・揮発性があるので大量に使うときは換気する。 ・フローリング、ゴム製品、皮革製品、樹脂製品、塗装やコーティングされたものは変質する場合があるので、目立たない場所で確認してから使用する。 |